今回は、統計の基礎である「変動係数」について解説していきます。
変動係数は、統計学において重要なばらつきに関連する指標の一つです。
統計検定3級でも問われる範囲ですので、是非この機会に覚えておきましょう!
この記事を読むと分かること
- 変動係数とは
- 変動係数の求め方
- 変動係数のメリット
最後まで楽しんで読んでいただけますと幸いです!
変動係数とは
変動係数は、データのばらつきの度合いを表す指標の一つです。
※データのばらつきについては、以下のブログでも説明しておりますので、ご覧ください。
データのばらつきを示す指標は、標準偏差や分散、四分位数、平均偏差(絶対偏差)など様々なものがあります。
変動係数もそれらの一種ですが、 変動係数は2つの異なるデータのばらつき度合いを見るときに使われる指標です。
ちなみに、変動係数は英語でcoefficient of variationというため、別名「cv値」とも呼ばれます。
変動係数の求め方
変動係数の求め方は以下の通りです。
変動係数の求め方
変動係数(cv) = 標準偏差(s) ÷ 平均値
ここで一つ気になることがありませんか。
それは、データのばらつきの度合いを表す標準偏差を使って計算している点です。
「データのばらつきを見るための指標なら、標準偏差があればいいじゃないか!」
「なぜわざわざ標準偏差を平均で割るような計算をしているんだ!」
と思う方もおられるかもしれません。
実は、標準偏差を平均で割ることにより、以下のような変動係数ならではのメリットが出てくるのです。
変動係数のメリット
変動係数には、以下のような2つのメリットがあります。
変動係数は単位に依存しない
変動係数の最大のメリット、それは単位に依存しない指標であるという点です。
たとえば、以下のような例があったとしましょう。
例1
- 身長 : 平均 170cm 標準偏差 4.6cm
- 体重 : 平均 61kg 標準偏差 2.8kg
身長の単位は「cm」、それに対し体重の単位は「kg」 これらは単位が異なるため、標準偏差同士での単純な比較が出来ません。
そんな時に出てくるのが変動係数です。
変動係数は標準偏差を平均値で割ることによって標準化した指標です。
そのため、変動係数を使えば、単位の異なるデータ間のばらつき度合いの比較が可能となるのです。
平均値の異なる集団のばらつきを比較
さきほどの身長と体重の例では、単位が異なるため標準偏差では比較が出来ないと述べました。
しかし、これらは仮に単位が違うという理由以外にも標準偏差では単純なばらつきの比較が出来ない理由があるのです。
それは、平均値の違いがあるからです。
ばらつきの度合いを考える際、平均値の大きさを考えないと、誤った解釈につながってしまう可能性があります。
たとえば、以下の例を見てみましょう。
例2
- 管理職の年収 : 平均年収 1000万円 標準偏差 300万円
- 一般社員の年収 : 平均年収 300万円 標準偏差 100万円
これらの単位はどちらも「万円」です。
しかし、単位が同じだからといって標準偏差ではばらつき度合いを比較出来ません。
なぜなら、一般社員の平均年収が管理職の平均年収に比べて平均値が小さいため、 標準偏差も一般社員の方が小さくなるのは当然のことだからです。
そのため、標準偏差を平均値で割って標準化する必要があります。
その標準化した値が変動係数なのです。
このように異なる単位、異なる平均値のまとまりのばらつき度合いを測る場合は、 標準偏差よりも変動係数が適しているということを覚えておくと便利です!
(補足)変動係数は、計算式に100をかけて「%表示」することもあります。
まとめ
今回は、変動係数とは何か、求め方や使い方、メリットなどを詳しくご紹介していきました。
変動係数が使えると、平均や単位が異なるデータ間でのばらつきの大きさを比較することができるので非常に便利です。
ビジネスの現場でも使える指標ですので、是非覚えておきましょう!
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