この記事を読むと分かること
- 意外と身近にあふれる標本調査の様々な事例
最後まで楽しんで読んでください!
標本調査と全数調査の詳しい違い、全数調査の事例が知りたい方は以下の記事もご覧ください!
標本調査とは
標本調査とは、調査対象から一部を標本(サンプル)を抽出し、抽出した標本を調査することで調査対象全体の特徴を調べる調査方法です。
標本調査を用いる場合、調査対象が大規模であっても時間やコストをかけずに調査することができます。
しかし、標本調査は調査対象の一部のみを調べるため、調査結果と調査対象の実態に誤差が生じる可能性があります。
標本調査は大規模な調査対象への調査や、調査結果に多少の誤差が出ても問題がない場合によく用いられます。
また、全数調査を行ってしまうとその後の工程に支障が出てしまう場合にも、標本調査が行われます。
例えば、工場で生産された商品の品質点検に全数調査を行ってしまうと、商品として売り出す製品が手元に残りません。そのため、商品の品質点検には標本調査が用いられます。
標本調査のメリット
標本調査のメリットは、全数調査に比べ、調査にかかるコストや労力、時間などを節約できる点です。
母集団が大きい場合だと、現実的に全数調査を行うのが難しい、もしくはわざわざ全数調査をするほどでもない場合などは標本調査のほうが都合がいいです。
標本調査のデメリット
標本調査のデメリットとしては、正確な結果が得られないという点です。
全数調査では全ての調査対象からデータを取ってきます。
そのため正確なデータが分かりますが、標本調査の場合はあくまでも一部の標本から全体(母集団)の姿を推測する調査方法なので、標本誤差というものが生まれてしまいます。
そのため、そこまで正確性が求められていない調査については標本調査でもよいですが、正確なデータを把握する必要がある場合は全数調査のほうが理想的です。
標本調査の活用例10選
ここからは、全数調査の活用例を10選紹介します。
視聴率
視聴率も標本調査の一つです。
視聴率は、調査対象となったモニター家庭にメーターを設置し、そこからデータを得ています。
視聴率20%など聞くことがありますが、これは誤差の範囲を含んでおり、実際には視聴率は95%の信頼区間で17.5%~22.5%といった状態であるということを表しています。
全過程にメーターを設置したり、集計、分析するのは大変ですし、視聴率であれば多少誤差があったとしても命にかかわるような重大な話でないので標本調査のほうが適しているといえます。
(参考)視聴率と統計学 計算方法や標本調査とのつながりを学ぼう!
選挙の出口調査
選挙の出口調査も標本調査として有名です。
選挙の出口調査は、2段抽出法という無作為抽出を行い、投票所の出口で投票を終えたばかりの方にどこに投票したのかを確認する調査方法です。
出口調査により、開票率が0%でも当選確実を推定できる場合もあります。
(参考)選挙と統計学 選挙速報で、開票後すぐに当選確実が分かる理由
区民アンケート調査
平成27年度川崎区区民アンケート調査では、以下のような条件で標本調査が実施されました。
- 調査の地域:川崎区全域
- 調査対象:川崎区在住の満18歳以上の男女個人(外国人市民含む)
- 標本抽出:住民基本台帳から層化二段無作為抽出
- 標本数:2,000標本
- 調査方法:郵送配布-郵送回収法
- 調査期間:平成27年12月25日~平成28年1月25日
- 有効回収数:900標本
- 有効回収率:45.0%
このように特定の地区の住民に対して地域の課題を調査する場合などにも標本調査が使われることがあります。
特に、川崎区のように大きな区だと全員に調査するとなると大変なので、標本を取り出して調査する方法のほうが適しています。
(参考)https://www.city.kawasaki.jp/kawasaki/page/0000078074.html
会社標本調査
会社標本調査は、国税庁による調査で、日本国内の法人企業を対象に資本金階級別、業種別で実態を明らかにする調査です。
主に、租税収入の見積もりや、税制の改正、そのほかにも税務行政の運営などの資料として活用されます。
(参考)会社標本調査
申告所得税標本調査
申告所得税標本調査は、申告所得税納税者について、所得者区分別・所得種類別の構成、所得階級別の分布及び各種控除の適用状況などの実態を明らかにするための調査です。
調査結果は、租税収入の見積りや、税制改正、税務行政の運営等の基礎資料として活用されます。
調査対象は、各年分の申告所得税について翌年3月31日現在において申告納税額がある人です。
このなかから全国524税務署より、所得者区分別・合計所得階級別に、定められた抽出率で標本を抽出し調査がされます。
(参考)申告所得税標本調査
内航船舶輸送統計調査
内航船舶輸送統計調査は、内航に従事する船舶についての貨物輸送の実態を明らかにする調査です。
調査結果は、交通政策や経済政策などの策定の基礎資料として活用されます。
内航海運業法に規定する内航運送をする事業を営む者であって、総トン数20トン以上の船舶を使用し、
貨物を輸送する者のうち国土交通大臣が選定した者の主たる営業所の管理責任者を対象に調査がなされます。
この母集団名簿から、層化一段無作為抽出法を行い、約180者を抽出し、標本調査が行われます。
(参考)内航船舶輸送統計調査
法人企業統計調査
法人企業統計調査は、日本国内における営利法人などの企業活動の実態を把握するために行われる基幹統計調査の一つです。
本調査には、年次別調査と四半期別調査があります。
年次別調査では、営利法人等を調査対象として、その年度における確定決算の計数を調査します。
四半期別調査では、資本金、出資金又は基金1,000万円以上の営利法人等を調査対象として、四半期ごとに仮決算計数を調査します。
それぞれ、全国の財務局及び財務事務所等を通じて調査票を送られ、自計記入による標本調査が行われています。
(参考)法人企業統計調査
容器包装利用・製造等実態調査
容器包装利用・製造等実態調査は、容器包装の利用・製造等の実態を把握し、特定事業者の容器包装廃棄物のリサイクル義務量算定のための数値等を算出する基礎にするための調査です。
調査対象は、全国の企業で、容器包装リサイクル法に基づきガラス製容器やペットボトル、プラスチック製容器包装、 紙製容器包装についての再商品化義務が課せられている産業が対象となります。
調査対象の約37,000企業から、無作為抽出を行い、サンプルに調査票を発送し、回収したものから集計されます。
(参考)容器包装利用・製造等実態調査
たばこ小売販売業調査
たばこ小売販売業調査は、たばこ小売販売業者の店舗経営や営業形態に関する状況を把握するための調査です。
調査結果は、たばこ行政を適切に行うための基礎資料として活用されます。
調査対象は、沖縄を除く全国のたばこ小売販売業者の中から、 無作為抽出を行い抽出された4,500店を対象としています。
調査内容は、店舗経営者の年齢や営業形態、たばこ自販機の有無、加熱式たばこ取扱の有無、年間売上などです。
(参考)たばこ小売販売業調査
全国貨物純流動調査
全国貨物準流動調査(物流センサス)は、荷主企業などの出荷側から貨物の動きを調査するものです。
全国を対象に輸送手段を網羅的に把握するための実態調査で、標本調査で行われます。
調査対象となった民間事業者から調査票回収後に、国土交通省で母集団推計をおこない、報告書・集計表を作成します。
(参考)全国貨物純流動調査
まとめ
本記事では、実際に行われている様々な標本調査の具体例についてご紹介しました。
標本調査と全数調査の詳しい違いや、全数調査の事例については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
是非ご覧ください!
本記事が参考になれば幸いです。
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