
この記事を読むと分かること
- 統計データに基づく現在の日本の姿
- 統計データの具体的な活用方法
「政府が行っている統計調査」「政府が発表している統計データ」といえばどんなものが思い浮かびますか。
代表的なものとして、国勢調査があります。
国勢調査とは、日本のすべての人と世帯を対象とした5年に1度行われる最も重要な統計調査で、前回は2020年に行われました。
この国勢調査の結果から分かる主なものは次のとおりです。
国勢調査で分かること(一部)
- 人口、年齢、世帯数
- 労働力状態
- 産業、職業
- 従業地、通学地
- 人口移動
国勢調査は、日本の社会経済の実態を把握し、よりよい社会を築くための施策を立案・推進するために利用されます。
総務省統計局が行っている調査はほかにも以下のようなものがあります。
- 住宅・土地統計調査
- 労働力調査
- 経済構造実態調査
- 家計調査
- 小売物価統計調査 など

意外と知らなかった面白いデータもあるかもしれないので、是非最後まで読んでみてください!
もくじ
日本人の人口の統計データ
日本人の人口の推移
図:人口及び人口増減率の推移
(引用 令和2年国勢調査の人口等基本集計結果)
まずは、日本の人口です。
日本の人口は、1億2614万6千人(2020年10月1日現在)。
2015 年に比べ、人口は 94 万9千人減少しています。
5年ごとの人口増減率の推移で以下のことが分かります。
5年ごとの人口増減率の推移でのポイント
・1945年~1950年 第1次ベビーブームにより15.3%と高い増加率
・1970年~1975年 第2次ベビーブームにより7.0%と高い増加率
・2010年~2015年 0.8%減と1920 年の調査開始以来、初めての人口減少
・2015年~2020年 0.7%減と引き続き人口減少
日本の人口は、2008年の1億2808万人をピークに減少傾向にあります。
都道府県別人口増減率
図:都道府県別人口増減率(2010年~2015年、2015年~2020年)
(引用 令和2年国勢調査の人口等基本集計結果)
8都県で増加、39道府県で減少しています。
2010 年~2015 年と2015 年~2020 年を比べると、増加した8都県のうち5都県で増加幅が拡大、減少した39道府県のうち33道府県が減少幅が拡大しています。
二極化が進んでいると考えられるでしょう。
人口増加率 | 人口減少率 | |
1位 | 東京都 1.2%(2.7%→3.9%) | 岩手県 1.6%(3.8%→5.4%) |
2位 | 千葉県 0.9%(0.1→1.0%) | 新潟県 1.5%(3.0%→4.5%) |
3位 | 神奈川県 0.3%(0.9%→1.2%) | 山口県 1.3%(3.2%→4.5%) |
4位 | 福岡県 0.1%(0.6%→0.7%) | 長崎県 1.2%(3.5%→4.7%) |
5位 | 埼玉県 0.1%(1.0%→1.1%) | 大分県 1.1%(2.5%→3.6%) |
子どもの人口および割合
図:こどもの数及び割合の推移
(引用 令和2年の国勢調査及び人口推計)
15歳未満のこどもの人口は、1493万人(2021年4月1日現在)。総人口に占める割合は11.9%で、1975年から47年連続で低下しています。
人口推計は、国勢調査による人口をもとに、その後の人口動向を他の人口関連資料から得て、毎年 10 月1日現在の人口を算出しています。
こどもの割合を外国と比べると、日本は最も低い水準となっています。
調査年に違いがあるため厳密ではありませんが、最も低い水準というのは間違いないでしょう。
図:各国におけるこどもの割合
(引用 令和2年の国勢調査及び人口推計)
高齢者の人口及び割合
図:高齢者人口及び割合の推移
(引用 令和2年の国勢調査及び人口推計)
65歳以上の高齢者の人口は、3640万人(2021年9月15日現在)。
総人口に占める割合は29.1%で過去最高となりました。
高齢者の割合を外国と比べると、日本は最も高い水準となっています。
日本は飛び抜けて少子高齢化が進んでいることが分かります。
図:主要国における高齢者人口の割合の比較
(引用 令和2年の国勢調査及び人口推計)
日本人の住環境の統計データ
続いて、日本人の住環境の統計データについてみていきましょう。
総住宅数と総世帯数
図:総住宅数、総世帯数及び1世帯当たり住宅数の推移
(引用 平成30年住宅・土地統計調査)
日本の総住宅数は6240万7千戸、総世帯数は5400万1千世帯(2018年10月1日)。
前回調査の2013年と比べ、増加傾向にあります。1世帯当たりの住宅数も増加傾向で、近年はその傾向が緩やかになってきています。
住宅・土地統計調査は、住生活に関する最も基本的で重要な調査で、全国約370万世帯を対象とした5年に1度行われる調査です。
調査内容は、日本の住宅とそこに居住する世帯の居住状態、世帯の保有する土地などの実態の把握です。
現状と推移を明らかにして、住生活基本計画、土地利用計画などの施策の企画、立案、評価などの基礎資料として利用されています。
空き家数および空き家率
図:空き家数及び空き家率の推移
(引用 平成30年住宅・土地統計調査)
空き家は848万9千戸、総住宅数に占める空き家の割合は13.6%と過去最高になっています。
空き家の定義は、3カ月以上住んでいることを「居住世帯のある住宅」としており、そうでない住宅の大半が「空き家」に分類されます。
総住宅数が総世帯数を上回った1968年。当時の空き家率は4%でしたが住宅の大量供給が続き、空き家率も大幅に上がっていきました。
今後は、少子高齢化の進展や人口移動の変化などにより、ますます空き家の増加が考えられます。
日本国内の移動状況
図:都道府県別転入超過数(2020年、2021年)
(引用 住民基本台帳人口移動報告)
都道府県別でみると、神奈川県、埼玉県、千葉県など10都府県で転入が転出を上回る転入超過となっています。
東京都は転入超過数が最も減少しており、茨城県、山梨県、群馬県は前年の転出超過から転入超過へ転じています。
住民基本台帳人口移動報告は、住民基本台帳にもとづき、月々の国内における人口移動の状況をまとめたものです。
地域人口の動向研究などの基礎資料を毎月発表されています。
図:東京圏の転入超過(2017年1月~2021年12月)
(引用 住民基本台帳人口移動報告)
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の4都県をまとめた東京圏の転入超過数です。転入者数は6月以降減少傾向にあります。
2021年の東京都は5433人の転入超過で、東京23区に限ると1万4828人の転出超過となりました。
日本で住民登録をしている外国人を含めて記録を取りはじめた2014年以降、初めてのことです。
コロナ禍で東京への一極集中が緩む動きが続いています。
テレワークの定着により都心のオフィスの面積縮小や郊外への移転の動きもあり、都心から郊外への住み替えの動きが起きていると考えられます。
日本人の労働の統計データ
続いて、日本人の労働に関する統計データを見ていきましょう。
完全失業率と有効求人倍率
まずは、完全失業率と有効求人倍率についてみていきましょう。
完全失業率
・15歳以上で働く意欲のある労働力人口に対して、現在仕事がなく求職活動を行っている完全失業者数の割合
・総務省が労働力調査で毎月発表
・労働力調査で選定する調査地域は約2900地域で、調査対象となる世帯は約4万世帯
有効求人倍率
・公共職業安定所(ハローワーク)で取り扱う求職者数に対する求人数の割合
・厚生労働省が一般職業紹介状況(職業安定業務統計)として毎月発表
完全失業率と有効求人倍率は、雇用状況から景気を判断する指標になります。
図:完全失業率と有効求人倍率(労働力調査、職業安定業務統計)
2021年平均の完全失業率は、2.8%で11年ぶりに悪化した前年と同じでした。
完全失業者数は193万人で前年から2万人増え、2年連続の増加。
2021年平均の有効求人倍率は、1.13倍と前年比下がりました。
下げ幅は前年より縮んだものの、3年連続のマイナスです。
就業者を産業別にみると、「宿泊業、飲食サービス業」は 22 万人減少。
そのほか「建設業」「生活関連サービス業、娯楽業」なども減少。
一方、「医療、福祉」は 22 万人増加となりました。
女性の有業率
図:年齢階級別育児をしている女性の有業率
図:都道府県別育児をしている女性の有業率
(引用 就業構造基本調査)
15歳以上で育児をしている人は1112万人、うち仕事をしている人は881万1千人、仕事をしていない人は230万9千人。
2012年と比べると、育児をしている女性の有業率は全ての年齢階級で上がっています。
就業構造基本調査は、国民の就業・不就業の状態を調査し、全国及び地域別の就業構造に関する基礎資料を得ることを目的に5年ごとに実施しています。
調査対象は、全国の約 52 万世帯(15 歳以上の世帯員約 108 万人)です。
都道府県別でみると地方の有業率が高く、男性の長時間労働が多い地域では女性の有業率が低い傾向がみられます。
まとめ
さて、今回は政府が行っている統計調査のデータをもとに、日本のいまの姿をご紹介してみました。
今回ご紹介した総務省統計局がおこなっている統計調査をまとめると以下のとおりです。
- 国勢調査
- 人口推計
- 住民基本代表人口移動報告
- 住宅・土地統計調査
- 労働力調査
- 就業構造基本調査
このほかにも政府は様々な統計調査をおこなっており、その統計データはインターネットで公開されてます。
気になる方は、政府統計の総合窓口「e-Stat」でご覧ください。
それぞれの調査は日本の社会経済の実態を把握するには欠かせないものです。
私たち、そしてこれから社会を築いていく子どもたちのためにも調査に協力して、その調査結果がよりよい社会を築くための材料となれればいいですね。
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