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カール・ピアソンとは 統計学とのつながりを分かりやすく解説

この記事では、イギリスの統計学者としてたくさんの功績を残したカール・ピアソンの出身や生い立ち、彼の残した功績についてお伝えしています。

普段あまり統計学に馴染みのない方でも、難しい数式ではなく、統計学を生み出した人物についての記事なので、読みやすい内容となっています。

是非最後までお読みください。

カール・ピアソンについて

カール・ピアソンは、イギリスの数理統計学者で、近代統計学の発展に大きく貢献した人物です。

また、記述統計学者でもあり、記述統計学の父とも言われています。

カール・ピアソンは、英語でKarl Pearsonと書きますが、元のスペルはCarlと書きました。のちに彼が崇拝するカール・マルクス(Karl Marx)に出会い、名前のスペルをカール・マルククスと同じCからKに変えています。

カール・ピアソンの出身や生い立ち

カール・ピアソンは、1857年にイギリスのロンドンに生まれました。父親は弁護士で裕福な家庭に育ちます。ユニバーシティーカレッジスクールに入学しますが、身体が弱く中退し、家庭教師につき、数学に出会います。

ケンブリッジ大学のキングスカレッジで本格的に数学を学び卒業した後は、留学をしますが、そこでは数学ではなく、文学や政治学、法学などを学びました。

カール・ピアソンのキャリア

カール・ピアソンが、再び数学に関わる様になったのは、帰国後に分筆活動をした後で、ロンドンにあるカレッジで応用数学の教授となりました。ここで動物学者のウォルター・ウェルドンと出会い、進化論の共同研究を行います。また、フランシス・ゴルトンともここで出会い、ゴルトンの死後は、彼の後継者となり、優生学部の初代教授になりました。

また、カール・ピアソンはドイツへ留学中にカール・マルクスと出会い彼に信水しました。そして1892年に「科学の文法」を出版します。この本でカール・ピアソンは「統計とは科学の文法である」と説明し、この言葉は多くの人に影響を与えました。若い頃のアインシュタインや当時ロンドンに留学中だった夏目漱石もこの本に強く影響を受けたと後に語っています。

カール・ピアソンは、カール・マルクスが推奨する社会主義の考えの持ち主で、1920年、大英勲章、1935年にはナイトの称号を受けましたが、辞退しました。

カール・ピアソンと息子エゴン・ピアソン

カール・ピアソンは1890年に結婚し、娘が2人と息子が1人います。

息子のエゴン・ピアソンは父の後をついで、統計学者になりました。

友人と「仮説検定」や「信頼区間」の理論を発表し、現代の推計統計学の中心的理論を造り上げた人物の1人となっています。

ちなみにカール・ピアソンが大学を退官後は、息子のエゴンが応用統計学部教授を継ぎ、ロナルド・フィッシャーが優生学部教授として後を継ぎました。父の時代から続いていたロナルド・フィッシャーとの論争は、息子の代になってからも続き、ロナルド・フィッシャーが退官するまで続きました。

エゴン・ピアソンは、1896年王立協会のフェローに選出されています。

カール・ピアソンの残した功績

カール・ピアソンは、留学中に出会ったダーウィンの従妹である、フランシス・ゴルトンの「相関」の概念を「回帰分析」や「相関係数」として数値化しました。

また、大量のデータを元に分布を造れば、本当に見たい値が分かるという母数・真値をつくりだし、その他にもカイニ乗検定やの積率相関係数など、現代の統計学理論の基礎となり、特に指数型分布族は一般化線形モデル理論の基本となっています。

我々に馴染みの深い棒グラフ(ヒストグラム)や標準偏差などは、彼が統計学に入れたものであり、数理統計学上に大きな功績を残しました。

ピアソンのカイ二乗検定

ピアソンのカイ二乗検定は、統計学検定の中で最もよく利用されている、独立性の検定の1つで、ノンパラメトリックな手法に分類されます。

独立性の検定とは何かに依存していなく、何にも関連していない。という意味です。

カイ二乗検定とは、何かが発生する頻度に偏りがあるかどうかを調べる方法の1つで、クロス表集計の検定としてよく使われています。

ちなみにカイ二乗検定と同じ位有名な検定に、t検定がありますが、この2つの違いは対象となるデータが異なる事です。カイ二乗検定はカテゴリカルデータを対象とし、t検定は連続データを対象とします。そのためデータの種類が分かれば、どの検定を使うかはおのずと決まる事になります。                    

ピアソンの積率相関係数

ピアソンの相関係数とは、2つの量にどの程度の相関があるかを表す指標です。正規分布に従う2つの変数間の直接的な関係の強さを知りたい時に使います。

例えば、運動習慣と健康度など、おそらく関係があるだろう。と推測される事柄に対して、それをイメージではなく、数値で表す事です。
相関係数と言われるものはいくつかありますが、ピアソンの積率相関係数が最も有名で、績率相関係数とだけ表された場合も、ピアソンの績率相関係数を指している場合が多いです。

ちなみに、「相関」とは変数がどれくらい類似しているかという類似度を意味し、類似の強弱を数値化したものを相関係数と呼びます。

受賞歴

1898年「ダーウィンメダル」受賞

まとめ

ここまで、統計学者カール・ピアソンの生い立ちやキャリア、彼の残した功績等についてお伝えをしてきました。

1936年に79歳で生涯を閉じたカール・ピアソンですが、彼が現代に残した功績をこの記事を通して少しでも知っていただければ幸いです。

(参考文献)

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  • この記事を書いた人

にっしー

フリーランス3年目の29歳。 専門統計調査士など、統計に関する資格を複数保有。 自分が数学苦手だった文系だからこそ書ける、分かりやすい情報発信を心がけています。 著書『これから学ぶ人のための統計学超入門』 寄稿実績『知識ほぼゼロからデータ分析の専門家になる(週刊東洋経済)』、『50歳からの学び直し入門 (インターナショナル新書)』(一部)

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