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ジョン・グラントと統計学 統計学とのつながりを分かりやすく解説

統計学と聞くと普段の私たちの生活にはあまり馴染みがないと感じる人もいるでしょう。

この記事では、私たちがよく耳にする平均寿命の割り出し方を考える統計方法を考えた人物、ジョン・グラントについて、彼の出身や生い立ち、統計学における彼の功績等をお伝えしています。

是非最後までお読みください。

ジョン・グラントについて

ジョン・グラントは、イギリスの統計学者です。彼は世界で最初の統計学者と考えられており、統計学の考え方を築き上げたうちの1人と言われています。

ジョン・グラントの出身や生い立ち

ジョン・グラントは、1620年にイギリスのロンドンで生まれました。彼の父親は商売人で洋服屋を営んでおり、ジョン・グラントは長男として、商売中心の厳しい教育を受けて育ちます。

16歳から責任ある立場として、1662年に父が亡くなるまで、父の店で働きました。

その間、文化や政治、社会活動に積極的に参加をしていたため、町の中で大きな影響力をもつようになります。

慎重で人に対して平等に接するジョン・グラントは、町の人からの信頼もありました。

商売上でおきた揉め事の仲裁に入ることもあり、ロンドン市内の様々な役職を勤め、1669年から1671年まで、市議会議員も務めました。

ジョン・グラントには、1641年にメアリー・スコットと結婚をし1人の息子と3人の娘がいます。

ジョン・グラントと統計学

統計学の歴史には、次の4つの大きな起源があると言われています。

1. 国の実態をとらえるための統計
2. 大量の事象をとらえるための統計
3. 確率的事象をとらえるための統計

ジョン・グラントは、2つ目の大量の事象をとらえるための統計に貢献したうちの1人と言われています。

ちなみに、1つ目の「国の実態をとらえるための統計」は、ウィリアム・ペティがイギリスの人口と経済を定量的にフランスと比較して、国宝に献上しました。

3つ目の「確率的事象をとらえるための統計」は、学者パスカルとフェルマーによって、サイコロ賭博の問題を基に確率論の基礎を確立しこれは後に検定、標本理論などに発展します。

ジョン・グラントは、教会に保存された死亡記録から年代別に死亡率を分析します。

これが現在の人口統計学の起源になったと言っても良いでしょう。

ジョン・グラントの残した功績

ジョン・グラントが友人と共に国勢調査のための統計的方法を開発しました。

これが現代の近統計学の始まりと言われています。

「死亡表に関する自然的および政治的諸観察」の中で、各年代ごとの死亡率の分析を行い、当時のイギリス人口を割り出しました。この功績が認められ、1664 年に王立協会の評議会のメンバーに選ばれました。

また、ジョン・グラントは最初の疫学者とも言われており、疫学においても功績を残しています。

1634年にイギリスでくる病による死の急増に関する調査を行いました。 統計の処理に科学的方法を取り入れています。ジョン・グラントは「くる病」に加えて、「肝臓で増殖した」と「脾臓」という2つの他の死因を調べ、3つを組み合わせて、各原因による死亡の頻度を年ごとに比較しました。

死亡表における「くる病」による死亡の急激な増加が、実際には「肝臓で成長した」死と「脾臓」で死んだと言われている死体を誤って分類した結果であるかどうかを調査し、死因としての「くる病」が初めて最大であると結論付ける発表をしました。

死亡表に関する自然的および政治的諸観察

死亡表に関する自然的および政治的諸観察は、ジョン・グラトが友人のウィリアム・ペティと一緒に1662年に発表した本です。

この本は、当時教会が市販していた死亡表を、出生・婚姻・死亡の夫々に集団的な法則性を見出して本にまとめたものです。

この本は、その後の統計学に対する考え方に大きく影響を与えました。

1664 年 11 月に王立協会の評議会のメンバーに選ばれています。

そしてこの本を元に、ハレー彗星で有名なエドモント・ハレーが、1693 年に世界初となる「生命表」を示しました。

生命表とは、出生から各年齢になるまでに生存する割合を推定したもので、平均寿命を計算をすることができます。

ハレーはさらに生命表に基づく生命保険の年齢別掛金、年金価値評価の基礎となる計算式を示し、これは今日の保険や年金運営の基礎となりました。

ジョン・グラントの最後

1666年に起こったロンドンの大火で、ジョン・グラントは家や会社を失い、最終的に破産宣告をしました。その後、信仰の不安定さや貧困と戦う生活が続きます。

1674年に黄疸と肝臓病により53歳で亡くなりました。

ジョン・グラントの科学的統計は、データを読み込みそこから様々な現象を結び付けて解釈する手法で、彼のニックネームである"Captain John Graunt"そのものであったと言えます。

イギリスの自然哲学者であり作家のオーブリーは、彼が「愉快で愉快な仲間であり、とても親切」であったと報告し、彼の死は「彼を知ることができて幸せだったすべての善良な人々によって嘆かれた」と述べました。

彼の遺体はロンドンにある東の聖ダンスタン教会に保管されています。

まとめ

ここまで、統計学者ジョン・グラントについて、彼の生い立ちやキャリア、統計学における功績についてお伝えしてきました。

統計学という言葉は、普段の私達の生活にあまり馴染みがない様に感じますが、医療や企業のマーケティングなど様々な場面で活用され、現代社会の発展に大きく貢献しています。

これを機会に統計学に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

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  • この記事を書いた人

にっしー

フリーランス3年目の29歳。 専門統計調査士など、統計に関する資格を複数保有。 自分が数学苦手だった文系だからこそ書ける、分かりやすい情報発信を心がけています。 著書『これから学ぶ人のための統計学超入門』 寄稿実績『知識ほぼゼロからデータ分析の専門家になる(週刊東洋経済)』、『50歳からの学び直し入門 (インターナショナル新書)』(一部)

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