統計雑学

心理学と統計学 概要やそれぞれの違い/共通点を分かりやすく解説

こんにちは。統計ブロガーのにっしーです。

心理学と統計学は非常に関係の深い学問です!

本記事ではこのつながりについて分かりやすく紹介していきます!

この記事を読むと分かること

  • 心理学と統計学の違い・共通点
  • 心理学と統計学のつながり

最後まで楽しんで読んでいただけますと幸いです!

心理学とは

心理学とは、人間の感情や行動の仕組みを科学的に理解する学問です。

人の内情を適切に理解することで悩みを抱える人を助けたり、暮らしやすい社会づくりに貢献できたりします。

心理学では人の心や感情に基づいた行動だけでなく、人が意識できていない心情や無意識下の行動も研究されます。

時には動物の感情や行動も扱うため、心理学は非常に研究範囲が広い学問です。

心理学の種類

心理学は「学問的心理学」と「ポピュラー心理学」の2種類に大きく分けられます。

学問的心理学

学問心理学は、大学のような研究機関で研究される心理学です。

学問心理学はさらに、基礎心理学と応用心理学の2つに分けられます。

基礎心理学は、人や動物の認知機能、学習、記憶など、誰しもが持っている感覚や能力について研究を行う学問です。

「人はどれくらい細かい変化であると気づけないのか」、「梅干しを見るとなぜ唾が湧いてくるのか」、「歯医者で歯を削られる音を聞くだけで、なぜ歯が痛いような気がするのか」などの事例を基礎心理学では研究しています。

一方、応用心理学とは基礎心理学の研究成果を活かし、より良い社会の実現を目指してあらゆることを実践する学問です。

心療内科や精神科で行われる治療や病気かどうかを診断する検査、学校教育の改善などは応用心理学を利用して行われています。

また、応用心理学はスポーツ選手の育成にも利用されています。

スポーツ選手が試合本番で100%に近いパフォーマンスを出すためには、精神面の安定性が重要です。

スポーツ選手の精神面の安定性を向上させるために、応用心理学の知見を活かした練習が行われます。

ポピュラー心理学

ポピュラー心理学とは、ネットや本などに掲載されるような心理テストや血液型診断、サイコセラピーなどを指す心理学です。

日常生活で私たちが触れる心理学の多くは、ポピュラー心理学に分類されます。

ポピュラー心理学には、学術的に証明されていない概念や理論が多いです。

そのため、世の中に出回っているポピュラー心理学には、根拠がまったく無いものも少なくありません。

統計学とは

統計学とは、何かを目的に収集されたデータの性質や特徴を推測する学問です。

統計学を用いることで、不確実性を伴うようなデータの性質を論理的に説明できます。

統計学には大きく分けて2種類の推測方法が存在し、データの種類に応じて使い分けられます。

1つ目は「記述統計」と呼ばれる方法です。

記述統計とは、データの平均値や標準偏差などを算出し、データの傾向や特徴を把握する手法です。

学校のテスト結果の分析などによく用いられます。

2つ目は「推測統計」と呼ばれる方法です。

推測統計とは、膨大な数のデータから一部のサンプルを抜き出し、そのサンプルの特性を調べることで膨大なデータの解析を行う手法です。

推測統計では全てのデータを対象としないため、分析結果が確実に正しいとは言い切れません。

推測統計は、テレビの視聴率調査やアンケート調査などの結果解析によく用いられます。

心理学の研究では、地球上全ての人間に対して同じ実験を行えるわけではないため、推測統計によって研究結果の分析が行われます。

スマートフォンやウェアラブルデバイスの登場で、現在あらゆるデータを簡単に取得できます。

集めたデータの分析、応用ができる統計学は、今注目を浴びている学問の一つです。

心理学と統計学の違い

心理学と統計学は、密接な結びつきをもつ学問です。しかし、全く同じ学問というわけではありません。

ここからは、心理学と統計学の違いについて解説します。

学問的心理学は統計学を利用する

心理学は研究の過程で統計学を利用する学問で、統計学の一種ではありません。

学問的心理学では人や動物を被検対象に、特定の実験が行われます。

被験者となる人は、それぞれ異なる性格や特徴を持ちます。

同じ被験者を対象に同じ実験を行っても、被験者の体調やその日の気分によって結果が変化する場合もあるでしょう。

学問的心理学は多種多様の性格や状態の人々を対象に実験を行うため、実験結果にばらつきが見られることが多いです。

学習心理学では、ばらつきの多いデータを分析し特徴を見つける必要があるため、研究の過程で統計学が用いられます。

心理学の研究範囲は人間

先述したように人の感情や行動を研究する心理学では、統計学が頻繁に利用されています。

そのため心理学で統計学が利用される事例は、人の感情や行動に関係するものに限定されます。

しかし、統計学は人間に関する分析以外にも、あらゆる分野で利用されている学問です。

統計学が利用される例として、工場で組み立てられる製品の品質管理や天気予報、企業の売上予測などがあります。

心理学と統計学の共通点

心理学と統計学には密接な関係があるため、もちろん互いの共通点も存在します。

ここからは、心理学と統計学の共通点について解説します。

データから物事の特性を推測する

データから物事の特性を推測するという点は、心理学と統計学で共通しています。

多数の人々に同じような実験を行い、できるだけ多くのデータを集め、人の感情や行動の特性を推測するのが学習心理学の一般的な研究の流れです。

被検体とされた人数が多く、多様な人々が被検体とされている研究ほど、信頼性のある研究と言えるでしょう。

一方統計学では特定の分野に限らず、多くのデータが存在する物事に対して、その物事の特性を推測できます。

分析対象となるデータ数が多ければ多いほど、統計学によってより確からしい特性の推測が可能です。

測定しにくい特性を数値化する

測定しにくい特性を数値化するという点も、心理学と統計学で共通しています。

人の性格や特性は数値化しにくいです。例として、ある2人に対してどちらがより短気なのかを考えてみましょう。

どちらがより短気なのかは大抵の場合、2人の性格を比較すれば分かります。

では、どちらがどれくらい短気なのか考える場合はどうでしょう。

「この人の方がもう片方の人よりも2倍短気である」という風に、明確には断言できないはずです。

例のように、明確に数値化して比べるのが難しい特性を、数値化して比較できるようにすることが学習心理学の目的の一つです。

統計学でも、測定しにくい特性の数値化を試みています。

測定しにくい特性を数値化したわかりやすい例が、天気予報で見られる降水確率です。

降水確率は天気出現率をもとに算出されています。

天気出現率とは過去30年分の観測データをもとに、特定の地域や月で晴れやくもり、雨などの天気がどれくらいの割合で出現しているかを表した指標です。

天気出現率という指標がないと、「今日は昨日より2倍雨が降りやすい」という風に予測できません。

天気出現率という指標は、どんな天気にどれくらいなりやすいかという明確にしづらい特性の数値化に、貢献しています。

まとめ

今回は心理学と統計学の概要、心理学と統計学の違い、心理学と統計学の共通点について解説しました。

統計学は特徴を見つけづらいデータに対し、非常に有効な学問です。そのため、人や動物の感情や行動という、日によって変化する特性を研究する心理学には統計学は不可欠と言えるでしょう。

心理学に興味がある方は、統計学についても学ぶと、より心理学についての理解を深められると思います。

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  • この記事を書いた人

にっしー

フリーランス3年目の29歳。 専門統計調査士など、統計に関する資格を複数保有。 自分が数学苦手だった文系だからこそ書ける、分かりやすい情報発信を心がけています。 著書『これから学ぶ人のための統計学超入門』 寄稿実績『知識ほぼゼロからデータ分析の専門家になる(週刊東洋経済)』、『50歳からの学び直し入門 (インターナショナル新書)』(一部)

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