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ビッグマック指数とは 概要や仕組みを分かりやすく解説

こんにちは。統計ブロガーのにっしーです!

今回はビッグマック指数ついてご紹介いきたいと思います!

この記事を読むと分かること

  • ビッグマック指数とは?
  • ビッグマック指数の仕組み
  • ビッグマック指数を理解するメリット

ビッグマック指数を知ることで、経済指標や為替レートについて関心を持ちやすくなると思います!

是非最後まで楽しんでください!

ビッグマック指数とは

ビッグマック指数とは、2通貨間の購買力を比較する際に使われる経済指数です。ビッグマック指数では「一物一価の法則」を利用し、「購買力平価」が求められます。

「一物一価の法則」と「購買力平価」について簡単に説明します。

一物一価の法則とは

「一物一価の法則」とは、自由に取引が行える市場では同じ商品やサービスの価格は1つに決まるという考え方です。

購買力平価とは

購買力平価とは、ある国で、ある価格で買える商品が他国でいくらで買えるか示す交換レートです。「一物一価の法則」が前提となります。

例えばビッグマックがアメリカでは5ドル、日本では500円で販売されている場合に5ドルと500円で同じビッグマック1つが買えるため、1ドルと100円の購買力は同じです。

結果、1ドル=100円が購買力平価になります。

ビッグマック指数の求め方

【手順①】

比較したい国のビッグマック現地価格 ÷ アメリカのビッグマック価格(USドル)

【手順②】

上記で算出したレートを実際の為替レートと比べ、比較したい国の現地通貨がUSドルと比べ、「過大評価」または「過小評価」されているか数値で表します。

例として現在の日本のビッグマック指数を計算する場合、日本では390円、アメリカでは5.15USドルの場合、2022年12月の為替レートは1ドル=134円なので

『計算式』

390(円) ÷ 5.15(USドル) ÷ 134 = 0.565
→ (0.565-1) × 100 = △43.5%

上記計算より日本のBMIは △43.5% となります。

【結果】

この場合、アメリカ人が日本でビッグマックを購入すると「安い」となり、日本人がアメリカでビッグマックを購入すると「高い」と感じるでしょう。また、ビッグマック指数がマイナスのため、円は過小評価されていると判断でき円の価値は今後高まると推測できます。

では、このビッグマック指数を活用すると、どんなメリットがあるのでしょうか。

ビッグマック指数活用のメリット

①購買力の比較ができる

先ほど説明した計算式で2通貨間(比較したい現地通貨とUSドル間)の購買力の差を比較でき

・ビッグマックが安い国=購買力が低い
・ビッグマックが高い国=購買力が高い

と考えられます。

②物価の動向が推測できる

例えば、日本のビッグマック価格は破格の安さであり、消費者にとっては嬉しいことです。
しかし経済としては良い状態ではありません。

理由は、品質が変わらず販売価格が安いということは、人件費が低下していることを表します。
減給すると、購買力は低下し商品が売れず、値下げ(人件費低下)とデフレスパイラルが引き起こされます。

このようにビッグマック指数からは、今後の物価動向を推測できます。

上記のように国の経済力を比較するうえで利用されるビッグマック指数ですが、指数活用時には注意すべき点がいくつかあります。

指数を活用する上での注意点

①経済的要素も価格に含まれている

ビッグマック指数は、どの国でも同じ品質や規格で、同じ価値を持っていることを前提としています。しかし実際の単価には、生産コストや店舗の賃貸料、光熱費などの様々な要因をもとに決められるため、この前提条件は完全には成立しません。

また、輸送費の関税にも影響を受けるため、為替相場と購買力平価が一致することもないでしょう。

②同じ国でも価格が違う

国土が広いアメリカでは、ビッグマック価格が

・ハワイ州 5.31ドル
・テキサス州 3.39ドル

※2022年10月時点
参考:McDonald's Menu Prices - Fast Food Menu Prices

上記のように、同じアメリカでも1.91ドルの差があります。
つまり1ドル=145円の時にアメリカに旅行した場合、テキサス州では約492円で購入できますが、ハワイ州では278円多く払わなければ、ビッグマックが食べられないことになります。

③品質や規格は世界共通とは限らない

ビッグマックの英語版Wikipediaを見ると

・日本のビッグマックのカロリーは世界で2番目に高い
・日本のビッグマックの食塩相当量は世界で最も多い

と分かります。
以上から、現実的に世界で品質や規格、価値が同じとはいえないでしょう。

2022年ビッグマック指数ランキング

2022年のビッグマック指数ランキングを紹介します。

※2022年10月時点の為替相場1ドル=145円計算
※BMIは2022年7月発表値

順位 国名 価格(USドル) 価格(円) BMI
1位 スイス🇨🇭 6.71 973 30.3
2位 ノルウェー🇳🇴 6.26 908 21.6
3位 ウルグアイ🇺🇾 6.08 882 18.1
4位 スウェーデン🇸🇪 5.59 811 8.5
5位 カナダ🇨🇦 5.25 761 2.0
6位 アメリカ🇺🇸 5.15 747 0



41位 日本🇯🇵 2.83 410 -45.1
54位 ベネズエラ🇻🇪 1.76 255 -65.8

ランキング表から分かること

・日本円が-45.1%と過小評価されている
・1位のスイスのビッグマック価格は54位で最下位ベネズエラの約4倍
→1000円払うとスイスではビッグマックが1個しか買えないが、ベネズエラではプラス20円で4個買えることを示しています。

ビッグマック指数に似た指数一覧

ビッグマックの価値を利用したビッグマック指数ですが、その他にもこれまでに様々な指数が開発されました。
ここで一部ご紹介します。

トール・ラテ指数(スターバックス指数)

スターバックスのトール・ラテ(トールサイズのミルク入りエスプレッソコーヒー)の価格を利用した指数で、各国の購買力が比較できます。

KFC指数

アフリカにはマクドナルドの店舗が少なく、ビッグマック指数が有効でないことからアフリカの市場調査会社が開発しました。KFCのオリジナルレシピの15ピースバケットを利用した指数であり、アフリカ諸国の為替レートを比べ、購買力平価が測定できます。

コカ・コーラ指数

コカ・コーラ指数は、これまでに紹介した指数のように各国の経済力や購買力を測るものとは少し違い、政治的自由度や生活の質とコカ・コーラ消費量の関係を示した指標です。

まとめ

経済指標や為替レートと聞くと難しく感じやすいですが、マクドナルドのビッグマックやスタバのラテで考えると関心を持ちやすくなるかと思います。

ビッグマック指数は、各国の物価水準を大まかに把握する目安になります。

海外旅行や海外でビジネス展開を考えている方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

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  • この記事を書いた人

にっしー

フリーランス3年目の29歳。 専門統計調査士など、統計に関する資格を複数保有。 自分が数学苦手だった文系だからこそ書ける、分かりやすい情報発信を心がけています。 著書『これから学ぶ人のための統計学超入門』 寄稿実績『知識ほぼゼロからデータ分析の専門家になる(週刊東洋経済)』、『50歳からの学び直し入門 (インターナショナル新書)』(一部)

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