アンケート調査は、意見や傾向を把握するための重要な手法です。
その調査結果を効果的に活用するためには、集計方法を適切に選ぶことが不可欠です。
本記事では、アンケート調査結果の集計方法の種類とそれぞれの概要について解説します。
集計方法の種類とその概要
単純集計
単純集計とは
単純集計は、アンケート調査によって収集した回答データを設問ごとに集計する、最も一般的な集計方法です。
質問ごとに回答のカテゴリや選択肢を設定し、それぞれの回答数や割合を算出します。
単純集計を使う場面
単純集計は、質問の選択肢やカテゴリが明確で、回答の数値化が容易な場合に適しています。
例えば、性別や年齢などの属性に関する質問や、選択肢の多い質問において利用されます。
単純集計の手順
単純集計の手順は比較的シンプルです。
まず、各回答のカテゴリや選択肢ごとにアンケートの回答データをカウントします。
その後、回答数や割合を算出し、グラフや表として可視化することで結果を示します。
単純集計の具体例
例えば、100人の被験者に対して「好きな果物は何ですか?」という質問を行った場合、回答のカテゴリとして「リンゴ」「バナナ」「オレンジ」「その他」と設定します。
それぞれの回答数や割合を算出し、円グラフや棒グラフで結果を表現することができます。
ビジネスの場面では最も多く見る集計方法です。
クロス集計
クロス集計とは
クロス集計は、2つ以上の質問やカテゴリを組み合わせて分析する方法です。
質問やカテゴリを交差させることで、相関関係やパターンを把握することができます。
クロス集計を使う場面
クロス集計は、質問やカテゴリ間の関係性を明示したい場合や、特定のグループ内での傾向を調査したい場合に適しています。
例えば、性別と購買意欲の関係や、地域と好きなジャンルの関連性を調査する際に利用されます。
クロス集計の手順
クロス集計の手順は、まず交差させる質問やカテゴリを選択します。
次に、それぞれの組み合わせにおける回答数や割合を計算します。
結果をクロス集計表や積み上げ棒グラフなどで視覚化し、関係性や傾向を明確にします。
クロス集計の具体例
例えば、100人の被験者に対して「性別」と「好きなスポーツ」の2つの質問を行った場合、性別別に好きなスポーツの回答をまとめ、クロス集計表や積み上げ棒グラフとして表示します。
これにより、男性と女性の間で好きなスポーツの傾向の違いを把握することができます。
自由記述の集計
自由記述の集計方法
自由記述の集計は、オープンエンドの質問に対する回答をまとめる方法です。
被験者が自由に意見やコメントを書き込む場合に利用されます。
集められたテキストデータを分析し、共通のテーマやキーワードを抽出するなどの活用をします。
テキストマイニング
自由記述の集計においては、テキストマイニングと呼ばれる手法が活用されます。
テキストマイニングは、大量のテキストデータから意味や傾向を抽出するための分析手法です。
キーワードの頻度や共起関係を調べ、特定のトピックや感情をテキストから分析することができます。
アフターコーディング
また、自由記述の集計では複数の回答に共通するテーマやカテゴリを抽出するためにアフターコーディングと呼ばれる手法も使用されます。
アフターコーディングでは、自由回答を読み込んで類似の回答をまとめて選択肢を作成していきます。
定性的なデータを定量的に把握しやすくなるといった特徴があります。
集計方法の選ぶときの注意点
目的や質問の性質に合わせた選択
集計方法を選ぶ際には、調査の目的や質問の性質に合わせて適切な方法を選ぶことが重要です。
単純な属性や選択肢に対する回答をまとめる場合は単純集計が適しています。
一方、複数の質問やカテゴリを関連付けて分析したい場合はクロス集計を選びます。
自由記述の意見やコメントを分析したい場合は、テキストマイニングやアフターコーディングが有効です。
データの信頼性と正確性の確保
集計結果の信頼性と正確性を確保するためには、適切なデータ収集とデータクリーニングが必要です。
アンケートの設計や回答の取得方法に注意し、データの偏りや欠損を最小限に抑えるようにします。
また、入力ミスや誤った集計方法の使用による誤りを防ぐため、集計作業の際には注意深く取り組む必要があります。
データの手入力においては、「文字に半角スペースが入る」「大文字と小文字の区別がつかない」などの細かい修正も必要になるため、データの整形作業をマニュアルに盛り込むなど、作業の仕組みを整えることでデータの品質を高める工夫が重要です。
集計結果の解釈と報告
集計結果を適切に解釈し、意義ある情報を抽出することが重要です。
統計的な傾向や関連性を分析し、調査の目的や研究問題に対する洞察を得るよう努めます。
集計結果を可視化することでも非常に有用ではありますが、「そこから何が言えるのか?」までを考察することでより意味のある集計結果となります。
また、結果を分かりやすく報告することで、他の人々と情報を共有しやすくします。
結果の視覚化ではレイアウトにこだわらず、よりシンプルな可視化が好まれることが多いです。
集計結果からのアクションプランまでを提案できると、より価値のある報告となります。
まとめ
アンケート調査結果の集計方法には、単純集計、クロス集計、自由記述の集計など様々な手法があります。
それぞれの方法には特徴や適用する場面があり、目的や質問の性質に応じて選択する必要があります。
単純集計は基本的な集計方法であり、質問の回答の頻度や割合を把握するのに適しています。
クロス集計は、質問やカテゴリ間の関係性や傾向を明らかにするために有用です。
自由記述の集計では、テキストマイニングやアフターコーディングを通じて、自由回答の共通テーマや傾向を把握することができます。
アンケートの集計作業においては、データの信頼性と正確性を確保するための注意が必要です。
調査の設計段階で注意深く質問を作り、適切な回答の収集方法を選ぶことが重要です。
また、データのクリーニングを行い、誤った集計方法の使用や入力ミスによる誤りを排除する必要があります。
集計結果を一見し、明らかに違和感のある結果が算出される際は大抵データ入力のミスが原因ということがよくあるため、結果の確認は必ず行うようにしましょう。
集計結果を解釈する際には、統計的な傾向や関連性を分析し、洞察を得ることが重要です。
一般的に言える洞察ではなく、これまで考えつかなかった知見や傾向を見つける意識が重要です。
また、結果を分かりやすく報告することで、他の関係者と情報を共有しやすくします。
グラフや表、要約文などを活用して、集計結果をわかりやすく可視化し、よりシンプルに伝えることが有用です。
アンケート調査結果の集計は、意思決定や戦略立案において重要な役割を果たします。
大規模な分析においては一企業の業績を左右することにもなります。
適切な分析結果を得る手助けとなれば幸いです。