この記事を読むと分かること
- クロス集計の基本、メリット・デメリット
- 単純集計との違い
- クロス集計の種類
- 活用例、活用時の注意点
クロス集計が使えると、データ分析の幅がグッと広がります!是非最後まで読んでみてください!
クロス集計とは?
クロス集計とは、アンケートなどで収集されたデータに、複数の項目をかけ合わせて集計する方法です。
収集したデータの個々の要素について詳しく調べる際に、よく用いられます。
例として、「1ヶ月に外食をする回数」のアンケート結果を集計する場合を考えてみましょう。
外食をする回数は、年齢や所得の高さ、家族構成によって変動するという予測が立てられます。
所得の高さや家族構成の違いが、外食をする回数に影響しているかどうかを実際に確かめるために、クロス集計を行います。
例えば、「1ヶ月に外食をする回数」のアンケート回答者を、「一人暮らしの人」「夫婦のみで暮らしている人」「夫婦と子供一緒に暮らしている人」の3パターンに分類してクロス集計を行う場合、以下のような情報を得られます。
- アンケートの回答者300人のうち、一人暮らしの人が122人、夫婦のみで暮らしている人が84人、夫婦と子供一緒に暮らしている人が94人である
- 一人暮らしの人122人のうち、40.5%が月5回以上外食をしている
- 夫婦のみで暮らしている人84人のうち、25.2%が月5回以上外食をしている
- 夫婦と子供一緒に暮らしている人94人のうち、10.1%が月5回以上外食をしている
このようなアンケート集計結果を得られると、一人暮らしの人が最も外食をする傾向にあることを数値的に把握できます。
クロス集計を活用することで、収集したデータの詳細を詳細かつ明瞭に確認できます。
クロス集計のメリット
クロス集計のメリットは、収集したデータの性質を詳細な分析と、結果の可視化を同時に行える点です。
集計結果を表やグラフで表示できるため、結果の共有も簡単に行えます。
また、クロス集計は高度な技術やアルゴリズムを必要としない集計手法です。
そのため、エクセルなどの計算ツールがあれば、クロス集計を手軽に活用できます。
難解な仕組みを必要としない分、クロス集計の仕組みの理解も簡単に行なえます。
クロス集計のデメリット
クロス集計のデメリットは、データ数の制約を受けやすい点です。
クロス集計はデータ群を複数の項目に分類するため、各項目に分類されるデータ数が極端に少なくなってしまう可能性があります。
各項目に分類されるデータ数が少なくなると、分析誤差が大きくなってしまうため、クロス集計の効果を十分に発揮できません。
クロス集計と単純集計の違い
クロス集計と似た集計手法に、単純集計と呼ばれる集計手法があります。
単純集計は、設定した項目ごとの合計値を示す分析手法で、収集されたデータ全体のボリューム把握に用いられることが多いです。
単純集計は、GT(grand total)集計と呼ばれることもあります。
例として、「運動が好きかどうか」を調べるアンケートについて考えてみましょう。
運動が好きかどうかを調べる場合、以下のような質問事項が考えられます。
- あなたの性別を教えて下さい 男性/女性
- あなたは運動が好きですか 好き/どちらともいえない/嫌い
上述したようなアンケートで得られたデータに、単純集計を用いると以下のような情報を得られます。
- アンケート回答者500人のうち、男性が278人、女性が222人
- アンケート回答者500人のうち、運動が好きな人が145人、どちらともいえない人が263人、運動が嫌いな人が92人
このように単純集計を用いると、収集されたデータの大まかな特徴を手軽に知ることが出来ます。
クロス集計の種類
ここからは、クロス集計の種類について解説します。
属性クロス集計
属性クロス集計は、収集されたデータそれぞれが持つ属性ごとに、データの傾向を比較する集計手法です。
例として、前述した「1ヶ月に外食をする回数」のアンケートについて考えてみましょう。
外食をする回数に、年齢や所得の高さ、家族構成が影響するという仮定を立てて、アンケート内容に年齢、所得額、家族構成を問う内容を盛り込んだとします。
「1ヶ月に外食をする回数」のアンケートに属性クロス集計を用いる場合、分類する項目は年齢帯、所得額帯、家族構成の種類のいずれかになります。
このように、属性クロス集計はアンケートの質問内容に含まれる属性に沿って、データの分類を行う集計手法です。
設問間クロス集計
設問間クロス集計は、複数の項目をかけ合わせてデータの比較を行い、それらの項目の因果関係を調べる集計手法です。
例として、あるAという商品の満足度と価格についてのアンケートを考えてみましょう。
アンケートを行った結果、下記のような情報を得られたとします。
- アンケート回答者は500人(内訳は男性250人、女性250人)
- Aに対して、満足と感じる人が124人、どちらでもないと感じる人が269人、不満足と感じる人が107人
- Aの価格に対して、高いと感じる人が93人、どちらでもないと感じる人が359人、安いと感じる人が48人
上記の結果を見ると、Aに対して不満足と感じる人数と、Aの価格が高いと感じる人数がほぼ同人数であることが分かります。
そのため、「Aに対する不満はAの価格の高さが原因である」という推測ができます。
このように設問間クロス集計を活用すると、データの属性だけでは汲み取れない情報を得ることが可能です。
クロス集計活用時の注意点
ここからは、クロス集計活用時の注意点について解説します。
細分化した各データ群のサンプル数が30以下になる場合は活用しない
クロス集計はデータを細分化する集計手法であるため、集計対象のデータ群にある程度大きさが必要です。
クロス集計の集計結果が有効なものとなる一つの目安として、データ細分化後に各項目に最低30サンプル程のデータがあったほうが良いとされています。
クロス集計を行う前に単純集計を行う
クロス集計は、データを深く分析する上で非常に有益な集計手法です。
しかし、収集したデータに対して、いきなりクロス集計を適用させるべきではありません。
クロス集計を行う前に、単純集計でデータの全体像を把握することが重要です。
最初に単純集計を行うと、クロス集計で詳しく分析するべき属性を確認できます。
そのため、クロス集計を効率的かつ高精度で行うことが可能です。
クロス集計の活用例
ここからは、クロス集計の活用例について解説します。
アンケート分析
クロス集計が活用されている代表例が、アンケート調査の結果分析です。
集めたアンケートの回答をクロス集計することで、ただ収集しただけでは分からなかった属性ごとの細かいデータや傾向を把握することができます。
クロス集計した結果をカイ二乗検定することで、有意差を見たり、というふうにさらなる分析に応用していくことも可能です。
アンケート結果において、クロス集計は欠かせない手法の一つといえます。
マーケティングリサーチ
クロス集計はマーケティングリサーチの現場でも、よく活用される手法です。
例えば、Web上や店舗での市場調査の結果に対しクロス集計を行うことで、ユーザーの潜在的な購買意向を収集、分析することができます。
その結果を、ユーザーのニーズを反映した新商品の開発に活かすなど、様々な活用方法が考えられます。
まとめ
本記事では、クロス集計の概要やメリット、デメリット、クロス集計と単純集計の違い、クロス集計の種類、クロス集計活用時の注意点、クロス集計の活用例について解説しました。
クロス集計はデータの詳細な分析と、分析結果の明瞭な可視化を同時に行える集計手法です。
さらにクロス集計は、計算ツールさえあれば誰にでも行うことができます。
そのため、学びやすく活用しやすい集計手法と言えるでしょう。
アンケートの集計方法などについて学びたいと考えている方は、是非クロス集計を学んでみましょう!
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